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黒森2号

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排気漏れ修理 <完結編>

エキマニとダウンパイプ接合部からの排気漏れはガンガム山盛りでごまかしてきたが、やはり対処療法でしかなくすぐにひび割れて漏れてしまう。いつまでもこのままで放っておくのも良くないだろうから、本腰を入れて修理に取り掛かることにする。排気系を全部降ろすことになるのだからついでに触媒も交換する。多分20年間一度も交換されていないはずで、排ガス浄化能力もかなり落ちていると思われるからだ。
ノーマルダウンパイプ 左の画像はノーマルの触媒付きダウンパイプ。
E21に限らずBMWはパイプと触媒が一体化されており、国産車のように触媒だけを交換することができない。かと言って新品の触媒付きパイプをポンと買えるほど黒森は裕福ではない(^^;ならばどうするか?解体車がゴロゴロしている国産車の触媒を使えるようにしたらええやん!E21純正の触媒を切断、その前後にフランジを溶接して国産車の触媒をドッキング。これくらいなら手持ちのアーク溶接機でなんとかなりそうな気がする。
というわけで黒森得意の力技計画が実行に移されることになった。
排気漏れ修理より触媒交換がメインになってまうがな(笑)
今回使用する材料一覧
材料その1 ダウンパイプ 材料その2 S14シルビア用触媒
材料その1
前オーナーTKS氏からもらったダウンパイプの一部。
触媒直前で切られているので今回の加工には最適の素材。
材料その2
S14シルビア(NA)用触媒。
ネットオークションで1500円で購入。
材料その3 スチールパイプ 材料その3 ノーマルセンターパイプ
材料その3
φ50.8ストレートパイプ、60゜曲げパイプ×2、汎用フランジ、ガスケット。
材質はアルスター(一般構造用圧延鋼SS400にアルミメッキしたもの)。
ココ・ファクトリーで購入。
材料その4
今まで使っていたノーマルセンターパイプ。
触媒からタイコまでを繋ぐパイプである。触媒と繋がる三角フランジを落としてパイプを延長、汎用フランジを溶接する。

作業開始
まずは排気系を全部降ろす。一人で作業しているため作業中の画像は撮影できないので悪しからず。排気系と言えばボルトナットの固着が付き物。すべてのボルトナットに浸透潤滑剤(黒森はWAKOSのラスペネを愛用)をたっぷり吹いておけばほとんど一発で緩むが、ガンガムを盛りまくったエキマニとダウンパイプのフランジ部分は固着とガンガムの二段攻撃で簡単には緩んでくれない。3本のうち2本は何とかナットだけ抜けたが、1本はスタッドボルトごと抜けてしまった。最終的にはスタッドボルトの交換も考えていたのでこれは良しとしよう。
エキマニのフランジ部分 残ったスタッドボルトはダブルナットで抜き取る……はずだったが一本が強烈に固着しており、錆びて山が痩せてしまったのも加わってダブルナットが空回りしてしまう。結局バーナーでボルトの色が赤くなるくらいまで熱し、バイスグリップで掴んで渾身の力を込めるとやっと緩んでくれた。
フランジ面に残ったガンガムをこれまたバーナーで焼いてスクレイパーで削ぎ落としたのが左の画像の状態。とりあえずこれで組んでみることにする。
余談だがエキマニに刺さっている金色の筒状のものはO2センサーである。本来はECUに繋がるコネクタに接続されているはずだが、黒森2号はこれが外されたままになっていた。おそらくO2センサーの寿命でエンジンが不調になり、応急処置としてコネクタを外したままになっていたのだろう。O2フィードバックが無い状態でも特に不調は感じなかったので、センサーそのもの交換はまたの機会に持ち越すことにする。
ダウンパイプの遮熱材を剥がす 材料その1のダウンパイプを加工する。
まずは集合部分から被われている遮熱材を剥がす。カバーは薄い鉄板なので、ディスクグラインダで軽く切れ目を入れ、タガネやマイナスドライバでこじってやるだけで簡単に剥がすことができる。内側の遮熱材は経年劣化でボロボロになっていた。
ダウンパイプを切断 パイプが真っ直ぐな部分を適当な長さに切断する。ディスクグラインダに切断砥石を着けてゴリゴリ切断する。飛び散る火花は男のロマンである(笑)本当はパイプカッターや高速切断機を使って切断面をきれいな平面にしたほうがいいが、この部分はφ50.8(内径φ47.6)のパイプに差し込んで溶接するので平面は適当で大丈夫だろう。
外周を軽くディスクグラインダで削って、パイプの内径にぴったりはまるようにして加工は完了。
曲げパイプを切断 次は曲げパイプを純正のレイアウトと同じになるように切断。これもディスクグラインダでゴリゴリ。S字部分は曲げパイプ同士を突き合わせ溶接するので、切断の目安に巻いたテープに合わせて平面に研削する……が、ディスクグラインダではなかなかきれいに平面が出ない。ま、適当でなんとかなるかと思ったが……これは後でえらいコトになる原因に。
純正パイプと加工用パイプ両方を切ってみて気が付いたのは、純正の方が分厚くて硬い素材を使っているということ。錆びてボロボロになっているかと思っていたが、錆びているのは表面だけ。ワイヤーブラシで磨くとピカピカになった。
仮溶接 各パーツを仮溶接する。
この溶接の時に突き合わせ部分の適当に出した平面が災いすることになった。家庭用の溶接機なら1.6mm厚のパイプでも電流を弱めにしておけば穴が開くこと無く溶接はできる。しかし隙間があると簡単に穴が開いてしまう。今回は何とか塞ぐことができたが、このまま全周を溶接するのはかなり難しい作業になりそうだ。

とりあえず今回の作業はここまでで一旦終了。続きは来週のお楽しみということで(^^;
2002/03/06追加
突き合わせ溶接はご家庭用アーク溶接では難しいのでやっぱりやめる。
余ったパイプで接合部分を繋ぐスリーブを作って両端を溶接するのが確実だろう。
……パイプの切れ端、取っておけば良かった。今日は不燃ゴミの日やったのよ(笑)
2002/03/10追加
この週末で作業完了……の予定だったが、所用&体調不良で作業はほとんど進まず。フランジの加工、パイプ接合用のスリーブを作って力尽きる(^^;
フランジ加工 触媒との接合に汎用フランジを購入したが、用意した触媒とボルト穴の位置が合わなかったので加工する。左上が加工済み、右下が加工前。約3mm外側に広げている。
フライスで加工 加工にはフライスを使用。本来はアルミや真鍮用の小型フライスだが、鋳鉄程度なら切込量を小さくすれば何とか削れる。
ちなみにワークの固定方法は思いっきり適当。さらに4辺を確実に固定できるような治具を作るのが正解。おかげでビビりは大きいわ、送りが早すぎるとズレるわで結構大変な作業になった。エンドミルが折れたりワークが飛んでくる危険もあるので、よいこは絶対にマネしないように!
パイプの切れ端からスリーブを作製 パイプを繋ぐスリーブを作る。
余ったパイプの切れ端に金鋸で縦に切れ目を入れて、外径にピッタリはまるように手やペンチを使って広げる。隙間は別の切れ端を縦に切って溶接して埋める。余った端材も無駄にしない環境に配慮した仕様である……すいません、新しいパイプを買うのがもったいないだけです(笑)
スパッタが派手に飛び散っているのは交流アーク溶接の宿命として、思った以上に綺麗なビードができたので嬉しくなってしまった(笑)
2002/03/17追加
相変わらず作業は遅々として進まず。このところ残業続きでガラにも無くモーレツ社員状態。よって16日は疲労回復のため一日爆睡したため作業は一切できず。
17日昼前から作業再開。ダウンパイプ接合フランジのスタッドボルトを新品に交換してエキマニ装着。
触媒の錆びたスタッドも交換しようとしたが、これまたえげつなく固着していたのでダイスでネジを切りなおしてお茶を濁す。反対側のフランジはスタッドボルト自体が欠品だったので寸切りボルトから自作する。元々の遮熱板装着用ステーは位置が合わないのでディスクグラインダで切り取る。新しいステーは手持ちのフラットバーから自作して溶接する予定。
スリーブを介して仮溶接 曲げパイプをスリーブを介して仮溶接する。本溶接は突き合わせ部分に開けた穴4カ所とスリーブの外周に行うが、穴が少し小さすぎたかも。これまた難しい溶接作業になりそうな予感……
フランジを仮溶接 フランジをパイプ内側から仮溶接。我ながら汚い溶接(^^;
ここで一度仮組みしてパイプの曲がり具合、触媒の位置を確認する。現物合わせ、細部はかなり適当に作ったわりには大きな狂いもなくこのまま本溶接して問題なさそうである。
触媒から後ろ、センターパイプの加工部分の具体的な寸法をここで計測する。
ダウンパイプと曲げパイプの本溶接 ダウンパイプと曲げパイプを本溶接する。平面はかなりマシな溶接ができるようになってきたが、円筒になると勝手が全然違うことを痛感。ビードには程遠いゴテゴテの溶接。ピンホールも多数ある。溶け込みを深くしようとしすぎて穴も開けてしまった(苦笑)グラインダで整形して修正する必要ありか……
2002/05/03追加
前回の更新から1カ月半たってしまった。デジカメを紛失して作業状況の撮影ができなかったのも理由の一つだが、4月に入った途端、急に仕事が忙しくなって土日も休日出勤、車いじりどころではなかった。GW前にようやく仕事も落ち着いて作業再開。デジカメも見つかって一安心(^^;
なんとか形になったダウンパイプとセンターパイプ 継ぎ接ぎだらけだが、とりあえずダウンパイプとセンターパイプが形になった。
黒の耐熱塗料で塗装するとマフラーらしく見えるから恐ろしい(笑)
排気温センサーの取付部分は、元のセンターパイプから切り取って溶接した。旋盤で新しく作りなおそうと思ったが、まともなネジが切れるようになるまで「ネジのような鉄クズ」を大量に作る必要がある。簡単に言うと挫折しただけ(^^;
塗装が乾けばいよいよ装着。ガスケットも全部新品にして、念のため液状ガスケット(バイク用の差し込みサイレンサーの排気漏れも一発で止めるという耐熱シリコンのもの)も用意した。
装着 ほぼ2カ月ぶりにエンジンをかけてみると……エキマニとダウンパイプのフランジからの漏れはピタリと止まっているし、他のフランジからの漏れも無い。溶接が甘くてピンホールが残っていたため漏れている箇所がいくつかあった。小さな穴なので溶接しなおすほどでもないだろうと思い、ガンガムを塗り込んで様子をみることにする。
2002/05/10追加
ガンガムも乾いたのでいよいよ試走である。ウマから降ろしてエンジンに火を入れると、以前とは比較にならない静かな排気音になっている。というかこれが本来の音か(^^;ゆっくりとガレージから出て幹線道路へ向かって走ってみると……カンカン、シャリシャリ嫌な音が聞こえてくる。すぐに引き返してまたウマの上へ逆戻り。やはりプロペラシャフトとセンターパイプが干渉していた。クリアランスが少ないのはわかっていた。ウマの上でギヤを繋いだ時は問題は無かったが、走行中の振動が加わると無理があったようだ。センターパイプとテールエンドの接合は多少自由度があるので、ボルトの締め具合で多少の改善はできるが根本的な解決にはならない。センターパイプの角度を手直しする必要がある。
というわけでセンターパイプを切断、プロペラシャフトから遠のくのようにほんの少しだけ角度を付けて再溶接。また継ぎ接ぎが増えてしまった。この「少しだけ角度を付けて」というのがなかなか曲者。現物合わせで少しずつ削って位置決め、溶接も角度が中途半端で固定が難しい。真っ直ぐに繋げる方が遥かに楽ってものだ。予想外に時間はかかってしまったが、今度はクリアランスも十分に確保できたようだ。改めて耐熱塗料を吹いてから装着、液状ガスケットが固まるまで一晩待つ。しかし作業したのは5月6日、今日でGWも終わり。試走は明日、仕事が終わってからか……
で、7日は残業で帰宅時間が遅くなったので、試走できたのは8日になってしまった。
再びガレージから出してしばらく自宅近くを流してみる。今度は異音も無いので本格的に試走に出かける。今までは3000回転以上回すとやかましくて耐えられなかったが、6000まで引っ張ってもさほど気にならない。吹け上がりもスムース、パワーもしっかり出ているように感じる。これは排気音が落ち着いたためによる気のせいかもしれないが……30分ほど走ってみたが、異音、異臭も無く大きな問題はなさそうだ。今後、問題になるのは素人溶接の耐久性か。
結局、作業開始から2カ月以上かかってしまったが、とりあえずは満足できる結果が得られた。溶接のコツ、マフラー自作のコツを僅かだが掴めたのが大きな収穫だと思う。